|
|
|
滋賀県大津市に本社のある「株式会社比叡ゆば本舗ゆば八」が販売する「豆乳おからクッキー」が全国的なヒット商品になっている。
ゆばが主力の老舗ゆばメーカーがクッキーの製品化にあたりパートナーとして選んだのは、クッキー作りにこだわる障がいある人の働く作業所(以下、作業所)だった。
「企業」と「作業所」を繋いだ八木幸子社長にお話しをうかがった。 |
|
|
|
|
|
|
|
京都府と滋賀県大津市にまたがる比叡山は、古くより信仰対象の山として繁栄してきた。「日本仏教の母山」と称されるその山の名を冠した「比叡ゆば本舗ゆば八」は、創業昭和15年、滋賀の地で70年以上にわたってゆばを作り続ける老舗店である。
「ゆばは伝統食というだけでなく、現代の食生活にあった健康食であり、そして美容食です。」そう話すのは八木幸子社長。すらりと伸びた姿勢の美しさ、うちからあふれるようなエネルギーを感じる人柄はまさに「ゆばの広告塔」。 |
|
|
|
|
急死した夫の後を継いで社長に就任してからは、持ち前のアイディアを生かし国内のみならず世界に向けてゆばブームをしかけてきた。
八木社長のアイディアは会社経営だけでなく、社是のひとつでもある「共存共栄」の精神にも生かされている。商売人としてお客様との繋がりはもちろん、地域のために貢献することも決して忘れない。
先代の頃から作業所との付き合いも長く、障がい者雇用にも積極的に取り組んでいる。
そんな八木社長と障がいのある人たちとの新しい関係が始まったのは、平成14年のこと。福祉に関わる委員を務めていた社長が、障がい者の収入向上のためさらに何かできないかと考えたのが、企業と作業所が手を組んですすめる商品開発だった。 |
|
|
|
|
|
|
|
滋賀県長浜市にある作業所「ひので作業所」と、八木社長率いる比叡ゆば本舗ゆば八の出会いは平成14年のこと。主力商品である生うどんに新しいラインナップを加えたいと考えていた「ひので作業所」に、おからと豆乳を使った商品の開発が八木社長より提案されたことから、「企業」と「作業所」のタイアップによる商品開発が始まった。
おからや豆乳を使ったうどんはすでに他からも発売されていたが、原料にその両方を使った商品は国内で初めてのこと。商品完成まで二年もの試作期間を見守った八木社長にはこの商品に対する強い思いがあった。 |
|
|
|
|
かつて姑の介護をしていた八木社長は、介護における排便の問題にずいぶん悩まされた経験から手軽に食べられてお通じのよくなる高食物繊維の介護食の必要を感じていたという。
可能な限りおからの含有量を多くすることにこだわった「豆乳おからうどん」はまさに八木社長がかねてより頭に描いていた商品。調理も簡単で、高齢者でも食べやすいうどんに豆乳とおからを入れることで大豆由来の栄養が加わり、また通常のうどんにはほとんど含まれない食物繊維も豊富なため繊維質の多い食事が取りにくい高齢者にはぴったりの介護食となる。 |
|
|
|
特殊な製法のため、実際の商品化までは試行錯誤を繰り返しながらも、良質のおからをたっぷり使用した「豆乳おからうどん」は発売以来新聞などのメディアで紹介される機会も多く、平成16年には農林水産省総合食料局長賞を受賞した。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
平成17年には、大津市にある作業所「がんばカンパニー」の中崎所長との出会いから、後に全国的な大ヒット商品となる「豆乳おからクッキー」が生まれた。 |
|
|
|
|
近年消費量の減少が著しいおからだが、その栄養的なメリットをよく理解するゆばメーカーとして、もっと手軽に美味しくおからを食べてもらいたい、という八木社長の思いと、安全で体によい素材にこだわりながらクッキーを作る「がんばカンパニー」、これらの出会いにより誕生した「豆乳おからクッキー」は、美容意識の高い若い女性を中心にインターネット販売で高い支持を集め、累計売上30万箱を超えている。
レシピの改良や新シリーズの登場などで現在も好調な売り上げは続き、ロングヒット商品として多くのリピーターに愛用されている。 |
|
|
「大切なお客様への商品だから不良品は出せない。」という八木社長の強い思いから、老舗食品メーカーで長年培われてきた商品基準は、そのまま作業所でも適用される。もともと安全面、衛生面においては最良の環境作りに努めるがんばカンパニーだが、企業との提携は作業所全体のレベルアップになると考える。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
八木社長が次に考える障がいある人たちとのつきあい方は、「お客さんになってもうらこと」だという。
「一方が支えるだけの関係ではなく、やはり基本は支えあいという関係です。私は障がいのある人たちにもっともっと元気になってもらいたい。
そして障がいある人たちにうちの商品を使ってどんどんビジネスをしていただきたいです。」 |
|
|
|
|
|
手をさしのべるだけでなく、ともに成長する。障がいある人たちとの関係を支援の対象としてだけではなく、ビジネスパートナーとして考えているのは、長年障がいある人たちと仕事を通じて繋がってきた八木社長ならでは。
「企業」と「作業所」のコラボレーションから生まれる、これからの可能性に期待がふくらむ。 |
|
|
|
|
|
|
|